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うちみるの家づくりTIPS:追掛大栓継の加工、母屋加工をひたすらに…

2017-2020
いよいよ梅雨入りでしょうか。
今年の日本列島の梅雨入りは例を見ないほど遅いらしいですね。
2019年の気候は何ともイレギュラーなことが多い感じです。
ニンゲン社会でも自然環境でも、いろんな事態に備えていかなければ、何だか痛い目に合いそうな時代です。

さて、建築途中も甚だしい「うちみるの家づくり」。
子育てや周りの雑務に追われながらも鈍行で進行中です。

先月にみんなでやった「梁上げ」
おウチの方はそこからほぼ全く変化なしです(ToT)!
Z金具という建築金物で、すべての接合部は全てボルト締め補強がされているとはいえ、 (なにせ100㎡の建物、金具補強にも結構な労力を費やしました…)雨ざらし状態となっております。
ポジティブに言えば、雨風でいい感じに洗浄されています_笑
せっかく例年にないほど梅雨入りが遅れてくれているのに、未だに屋根が無いー!
早く屋根を取り付けたいところですが、なにせ部材加工が全然間に合ってないのです。

んで、今どんな作業をしているかというと、こんな継手をひたすらに作っています。
これは「追掛大栓継」(おっかけだいせんつぎ)といって、部材を延長する強固な継ぎ手のひとつです。
新居の広さからいって11メートル近くの母屋(屋根を支える横架材)が必要になります。

墨付け図はこんな感じです。(一例です)
差し金を図のようにあてるとスピーディに墨付けできます。
□15~□18っていうのは込栓(木の栓をボルトの代わりに入れる)が入ります。

母屋1列につき、角材を4~6本繋ぐのでこの継手をその分だけ作らねばいけません。
これがまぁまぁ骨が折れます…

しかも「うちみる建築」の基本は廃材使用。
まっすぐに見えて反っていたり、ねじれていたり…
周到な墨付けが必須で、しかも正角が出ていないので丸ノコが使えないような場面もしばしば。
とにかく時間を費やしてしまうのです。

しかし、そんな廃材に屈してばかりじゃいられません。
廃材ならではの、利用できるところはうまく利用します。
画像は、母屋加工に使えそうな部材を廃材置き場から持ってきたところです。
(釘抜き、カンナ掛け済み)

以前にも建築物として使われてきた廃材なので、すでにホゾ穴が開けられていたり…(新たに角ノミで穴を開けなくてOK!)

元々、母屋部分に使われていた廃材だと、口脇(くちわき)という垂木受けが掻き込まれていたり…(ノミで削る手間がなくて助かります☆)

ときには、うまく解体できれば「追掛大栓継」が姿を現します。
(アンビリーバボー!)

日本の在来建築ってある一定のルールがあるので、ホゾ穴の大きさだったり、口脇の間隔だったり、継手の寸法がどの建築でも結構おんなじなんです。だからそのルールに沿って建築をするなら、廃材をそのまま利用できちゃったりするのです。
廃材なので、破損部分があったり、仕口が壊れていたりで頭を悩ます事もあるけど、加工でちょっとラクができるのは大きなメリット。
伝統技術と先人の手仕事をそのまま受け継ぐってのも何だか感慨深いものがあります。

そんなわけで、ひたすら母屋加工を続ける日々なんですが、ここからが本題。

改めて「追掛大栓継」の図をば↓

加工したことがない人はナンジャソリャでしょうが(笑)、この加工を全て手作業でやっていたらよほど切れ味の良い道具を使わない限り、1~2組を墨付&加工すればおそらく半日~初心者だと丸一日かかります。

そこで電動工具を使って、出来るだけ時間短縮を狙います。

まずは墨付けをしたときに、木材先端の芯墨から伸びる直線部分を丸ノコで裏表でカットして不要部分を切り落とします。

その後、角材を90度回転させ、残り部分15mmを削る前段階として、刃を15mm出した丸ノコで何本もガイドラインを切り出して木の繊維を細かく切断します。
(差し金の幅は全て15mm ← これもまた素晴らしい業界ルールですね!)

注)
ただし、角材の正角が出ているときなら何も考えずに丸ノコを当てればいいのですが、材が歪んでいたり、木割れで膨らんでいたりすれば、裏表で切ったときに大きなズレが生じてしまいます。
そこでズレちゃうと、次に切り出すガイドラインもズレてきます。
丸ノコの角度調整が必要になったり、面倒でも手ノコで表裏の切断ラインを見ながら切っていく必要があります。

次に切り出したガイドラインを利用して、ノミで15mmを削ります。

ちなみにこのガイドラインがないと、木の繊維が長く繋がった状態なのでなかなかに削れません_涙

すみません、材を裏返して撮影しちゃいました。

次は、相方の追掛部分が入るミゾを掻き出します。
(このミゾの幅も15mm)
手ノコで両脇のガイドラインを切り出しておきます。

ココもいきなりノミで叩きだしたら、よほど切れ味が良くない限りかなり骨が折れる作業です。
木の節なんかに当たったらもう大変です。
なので、インパクドドライバーを使って可能な限り削っちゃいます。
回転の力で節に当たってもゴリゴリ削ってくれます。
キリの直径は15mmきっかりだと、曲がって入ったときにひどいことになるので、少しゆとりを持って12~13mmくらいがいい感じです。

残った部分を15mm幅のノミで掻き取ります。

先端の追掛部分をノコで切り出して、やっとこの形が姿を現します。

ちなみにこれは男木(上から乗せて継ぐ木)の加工でした。

ここで、スベリ勾配という、斜めにカットされている部分にご注目。

継手の中心線(線に○印)を基準にして継ぎ始めと終わりを15mmズラします。それを下から受ける女木(写真では墨線だけ書いてます)はその勾配とは逆に加工します。

注)
スベリ勾配の付け方は大工さん独自のルールもあって、いくつかパターンがあったりします。

こうして15mmのゆとりを持つことで、始めはユルく入っていきますが、組み終わりにはガッチリ決まるわけです。

別角度から。
うーん、先人の知恵ってスゴい!

おっと、しっかり組んだら最後に込栓を打ち込むのを忘れずに。
これで「追掛大栓継」の完成です。

それにしても、ふー…、果てしない作業です。
日々の生活の時間を少しずつ使いながら、黙々と作業を進めるのみです。

頑張りまーす!


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